2021年の今、バブル経済を考える

経済-Economy-

日本で「バブル経済」というと、1986年〜1991年あたりの好景気のことを指します。
株価は高騰。なんと30年後の現在2021年1月の株価より高い時期もありました。
地価も高騰。借金をしてでも土地を買えばその資産価格はあっという間に上がり、
元を取ることが出来ました。
しかしその後、バブルは崩壊。株価、地価は急激に下がり、日本は長い不景気の時代に入っていきます。

そんなバブル景気の時代から30年。バブルを知らない世代も多くなってきました。
そして2021年現在、コロナ禍の真っ只中にも関わらず、日米ともに株価は急上昇中。
約30年ぶりに日経平均株価が28,000円を超えました。
そんな今だからこそ過去のバブル経済という歴史を振り返ってみたいと思います。

投資、トレードをしている方には投資判断の一助になれば幸いに思います。
最終判断はあくまでご自身の責任においてお願いします。

また、投資、トレードをされていない方、さらには中学、高校生など学生さんにも分かるよう
分かりやすく書いておりますので、教養として役に立ててもらえれば嬉しく思います。

バブル経済の始まり

元を辿ろうと思えばどこまでも辿れるので、ここでは1980年代の日米の貿易摩擦を出発点とします。

当時のアメリカは日本との貿易で赤字を出していました。
日本に物を売る金額よりも買う金額の方が大きかったのです。これではアメリカは損ですね。

なので、当時のアメリカ大統領レーガンは円高ドル安政策を進めました。
それがプラザ合意です。

プラザ合意は聞いたことある!

でも、なんで円高ドル安だと貿易赤字が解決するの?

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「円高ドル安」って円に比べてドルの価値が低いってことなんだ。

だから、簡単に言うと…

 

ドルで作られた商品は日本では安く手に入る。

→安いってことはたくさん売れる。

→売れると儲かる。

→赤字が黒字に向かう。

 

ってことなんだ。

 

「円とドル」のように違う国のお金との関係を為替って言うんだけど、為替のお話は別記事でもやっていこうと思っているよ。
お楽しみに!

プラザ合意の結果、急激な円高が進み、↑と逆の理屈で日本は不況になります。

その不況を打開するべく日本銀行(日銀)は低金利政策、つまり銀行の利子を下げる政策を行いました。

日本銀行は日本の中央銀行です。
中央銀行である日本銀行が利子を下げると市中銀行(一般の銀行)も利子を下げます。
そうすると一般の人や企業はお金を借りやすくなり、一般の人たちの間に多くのお金が流通するようになり、景気が回復します。

しかし、今度はお金が行き渡りすぎて余ってしまいます。

人々は余ったお金を使って株や土地に投資するようになりました。
株を買えば株価は上がるから儲かる。土地を買えば地価が上がるから儲かる。
これは次第に実質経済とはかけ離れていくのですが、この上昇はいつまでも続くかのように思われました。

これがバブル経済です。

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まとめます。

 

アメリカは貿易赤字を改善するためプラザ合意で円高ドル安政策をとります。
その結果円高が進み、日本は円高不況へ。
景気を回復させるため日銀は金融政策で金利を下げます。

そうすると次はお金が余ってしまい、投資に回ったそのお金は株価、地価を
釣り上げ、好景気が作り出されました。

でもそれで好景気になったのならそれで良いんじゃないの?

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最初は良かったのかも知れないね。

当時の人たちもこの好景気がずっと続くと考えていたようだよ。

日経平均株価は最終的に39,000円くらいまで上がったんだけど、
50,000円まで行くと予想してた人もいたようだよ。

でも景気も良くなりすぎると良くないんだ。
そこのところは次の章で説明するけど、参考までに株価のチャートを
載せておくね。

 

 

 

 

すごい暴騰と暴落!
しかも2007年になっても株価は回復してないのね…

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株が高いと言われる2021年でもまだ28,000円。
当時の水準に達してないんだ。

そう見ると当時の株価がいかに異様な上げだったか分かるね。
そしてその反動の大きさも。

次の章でバブル終焉の原因を見ていきます。

 

バブル崩壊

日銀の金融政策の結果、お金が余り、余ったお金は投資にまわり、株価、地価が暴騰しました。

主に都会の人の生活は実際豊かになり、ブランド物はよく売れ、少しの移動もタクシー。タクシーを止める時もお札で止めるといった光景も見られました。

当時のテレビCMも投資関連が多くありました。

そんなお金あまりは長くは続きません。

お金が余りすぎるとインフレの心配が出てきます。

インフレ(インフレーション)とは物価上昇のことです。
お金が余ってみんなが自由に物を買えるようになると物が足りなくなります。
物が足りないとレア度が増すので金額は高くなります。

これがインフレーションです。
インフレーションが急激に進むとハイパーインフレという状態になり、お金の価値がほとんどなくなってしまいます。
一万円札が紙切れとなってしまうのです。

そのような事態を防ぐために、景気過熱時には日銀は金利を上げます。
金利を上げるとお金を借りにくくなり、借りた場合も多く返すのでお金の量が次第に減っていきます。

1985年〜1990年の5年間で日経平均株価は3倍以上に跳ね上がっており、明らかな景気の過熱があったので日銀は次第に金利を上げていきました。

ここでも株価は抵抗を見せ、まだ上昇しますが、土地を買うための融資を受けづらい金融政策もとられ、そして1991年に土地に対して課税される「地価税法」も施行され土地への投資競争の幕引きとなりました。

それどころか、株、土地の上昇を見込めないと考えた大口投資家たちが一気に持っている資産を売却し出したので、価格が暴落
それに一瞬遅れて気づいた一般投資家も慌てて売却。

売りが売りを呼び、バブル崩壊となりました。

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まとめます。

金融緩和(金利を下げる)によってお金が余りバブル景気を生み出しました。
景気の過熱は過度なインフレを招く可能性があるので
今度は金融引き締めを行います。
その結果、投資に向かうお金が減っていき、売りが優勢となり、
価格は急激に下がることとなりました。

もっと緩やかな変化にすることは出来なかったのかな?

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もちろん金利の引き上げは段階的に行われていたんだけど、
さっきも言ったように当時の社会のマインドは
「まだまだ上がる」「ずっと上がる」
だったからみんなギリギリまで耐えていたんだろうね。

大体投資の世界ではプロが先に買い始め、高くなってきたところで
一般投資家が気付き買い始める。
さらに高くなったところで初心者が参入。
そこが最後の上げとなり、プロは売り抜けると言われているよ。

まさにそういう状況だったのかもしれないね。

恐ろしい世界…
あれだけ下げてたら損した人多くいたんだろうね。

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もちろん。
個人レベルだけでなく、企業も損をして倒産、業績悪化が相次いだんだ。
その企業にお金を貸していた銀行もお金を回収できなくなって(不良債権)
困ってしまったんだ。


その後の話は次の章で追っていくよ。

バブル崩壊後から現在までの日本経済

バブル崩壊後の日本は長い景気低迷気に入ります。
それは「失われた20年(30年)」とも呼ばれます。

低迷といっても横ばいが続くので悪くなってる印象はあまりないのですが、
その間にも外国は成長し続けているので相対的に日本の経済ランクは落ちていくことになります。

この辺はまた機会があれば別記事でも…

チャートを見てみましょう。

この不景気の間も何も対策が取られていなかったわけではなく、バブル前のように金利引き下げも
行い、現在ではほとんど0金利というレベルにまでなっています。

その効果か、所々回復がみられる形にはなってますが、今度はITバブル崩壊リーマンショックなど
外国発の暴落の影響でなかなか這い上がれませんでした。

また、バブルで痛い目を見た銀行は今度はお金を貸し渋り、企業はもしもに備えて資金を
溜め込むようになりました。
そうなるとお金の動きは緩慢になり、経済も低迷します。

それが2012年アベノミクスの始まる年から次第に上がっていき、2021年まで上げ続けています。
2021年現在の28,000円台というのは30年ぶりとなります。

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まとめます。

暴落を受けて日銀、政府も対策をうちますが、
外国発の不況に巻き込まれなかなか経済(株価)は回復しません。

それが2012年を起点に回復を見せています。

ようやく日本経済も復活したんだね。

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株価だけを見てみるとそう取れるね。
でも今の社会情勢を考えてみるとどうだろう?

新型コロナの流行により自粛が頻発。
観光客も激減。経済活動が停滞しているよね。
なのに株価は上がっている。

そういえば…。
飲食関係は倒産も多いって聞くけどなんで株価は上がっているんだろう?

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これにはコロナでダメージを受けた経済への対策が関係していると
言われているよ。日本でもお金を配っていたね。
その辺りはまとめの章で話し合っていくことにしよう。

 

まとめ

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1980年代、金融緩和による「カネ余り」でバブル経済は生まれました。
そして金融引き締めバブルは崩壊

その後は貸し渋り、企業の内部留保、外国の不況の影響で景気は低迷
2012年のアベノミクスからようやく持ち直して現在2021年に至ります。

 

それでどうしてコロナで経済活動が停滞している中で株価は上がっているの?

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経済的に苦しくなった国民を助けるために国がお金を配ったことが
原因の一つだと言われているよ。

でも生活が苦しいのに株は買わないんじゃないの?

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実際に苦しい人たちはそうだけど、コロナの経済的影響が軽い人たち、
学生さんたちにとっては良いお小遣いとなったんだね。

それに金融政策も金利引き下げに動くからお金を借りやすく、これも
お金あまりを生むんだね。

それで実態経済と合わない株高が起きてしまった。
株価や資産価格の上昇は世界的に起きていて、特に暗号資産ビットコインは
すごいね。

チャートを載せておくよ。

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宇宙まで行ってしまいそうだね(笑)
こんな暴騰が起きているんだ。

去年ビットコイン買ってた人は大儲けだね。
買おうかな…

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確かにまだ上がるかも知れないね。
だけど今日の話を思い出して。
初心者が買い出す頃は…

あ!

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そういうこと。
しかも、お金余りからの急上昇ってバブルと似ているよね。

アメリカの株価の上がっているんだけど、
アメリカでは長期金利も上がってきているんだ。
バブルは金利の上昇で崩壊したね。

そしてアメリカの株価暴落は歴史的には日本にも影響が
あったね。

てことは今危ないってこと?

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ここまで言っておいてなんだけど、
そこはわからない(笑)

このまま上がっていって、日経平均も30,000円
そして史上最高値まで行っちゃうかもしれない

これまでの理屈が通用しない世の中になってきているしね。

ただ、バブルを経験していない若い投資家も増えてきているので
今とちょっと似てる「こんなこともあったよ」
くらいに紹介しておきたかったんだ。
歴史の勉強にもなるでしょ。

もし、バブル崩壊の時のように暴落となった時に、警戒心を持って
致命傷を避ける投資家が一人でもいれば嬉しいかな。

まあしかし、未来のことは誰にもわかりません。
投資の判断はいつでも自己責任でお願いしますね。

はーい!

 

コメント

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